(2)嘔吐下痢症え~、この回も、前回のインフルエンザと同じく、ケーブルテレビの「教えてぞうさん先生」と言う番組で喋るために作った台本をそのまま載せました。まあ、実際に喋った言い回しは少しずつ違っているかも知れません。 Bがアナウンサー、Tが僕になります。 B:今回は、嘔吐下痢症についてお話しを伺います。 最初に伺いたいのですが、これはどのような病気でしょうか? T:嘔吐とか下痢と言うのはお腹の病気でよく見られる症状ですよね。 ですから、正確に言うと嘔吐下痢症と言うのは、吐いたり下痢したりする病気と言う意味で、ひとつの病名、原因を表しているものではないのです。 一般に小さい子供さんに嘔吐や下痢が起こる場合は、殆どがウイルス感染によるもので、ウイルス性胃腸炎、もしくは感染性胃腸炎とも呼ばれます。しかし、お母さん達には「嘔吐下痢症」の方が通りが良いみたいです。 B:お腹の風邪なんて言われることもありますが、それも同じ物と考えてよろしいのでしょうか? T:同じと考えて良いと思います。 B:原因はウイルスが多いと言うことですが、ひとつのウイルスではなくて、色々ウイルスが居る訳なんですか? T:そうです。このような症状を起こすウイルスは沢山あります。代表的なのは、ロタウイルス、アデノウイルス、小型球形ウイルス、エンテロウイルスなどです。 B:この病気の流行時期はありますか? T:、秋から冬にかけてが多いですが、夏にも見られます。 B:では、この病気がどんな風な経過を辿るのか教えてください。 T:多くは突然の嘔吐からはじまり、腹痛や、一過性の発熱を伴い、水のような下痢が出現して、数日から1週間で改善するというのが一般的な経過です。もちろん全部の症状が出ない場合も、一度に全部の症状が出る場合もあります。通常嘔吐は半日から1日ぐらいで改善することが多いです。下痢は薄黄色~白っぽい便で、酸味のある発酵臭を伴うことが多いです。 B:子供が吐くと、親はビックリしてしまうものですが、どのように対処すればよろしいのでしょうか? T:吐いた直後は、お腹も動いてないし、食べ物を取らせることにより、また嘔吐を誘発することになります。ですから、吐いた場合はしばらくお腹を安静にする意味で、最低1時間は何も口に入れない方が良いと思います。 B:しかし、吐いた後は喉が渇いて、すぐに水分を欲しがる子供さんもおおいですよね。 T:そういう場合は、小さな氷のかけらでもしゃぶらせるとか口の中を湿らせる程度に水分をあげてください。 B:その後の食事の取り方はどのようにすれば良いでしょうか? T:時間をおいて吐き気が収まっても、いきなり普通の食べ物を食べさせずに、まずは少量の水分から試してみてください。湯冷ましや番茶、子供用のスポーツドリンクなどを飲ませてみてください。量は一口ぐらいから始めます。そしてまた様子を見て、吐き気が無いようなら、もう少し飲ませてみる、回数を多くして、1回量は少なく、そして間隔をあけるのがコツです。 B:果物のジュースなどはどうですか? T:最初は、そういう味の濃いものじゃなく、味の薄いお水、お茶、スポーツドリンクが良いと思います。 B;子供用のスポーツドリンクと仰いましたが、これは大人用のとは違うんですか? T:大人用のは、子供には甘すぎる事が多いです。水で半分ぐらいに薄めて、わずかに塩分を加えると丁度子供にいい感じの組成になります B:水分が取れるのを確かめてから、食事に行くと言うことですね。 では、食べ物なんですが、どんな物をどんな風に食べて行けばよろしいのでしょうか? T:一般に、薄味の柔らかい消化のよいものから始めましょう。食事の堅さは便と相談という事が多いです。一般に便の堅さに応じた物を食べさせろと言いますね。 下痢のひどい時には、無理に離乳食や固形物を食べる必要はありません。 子供用のスポーツドリンク、野菜スープやみそ汁の上澄み、リンゴのすり下ろし汁など。 便がドロドロなら、豆腐、おかゆ、バナナの裏ごし、ニンジンやカボチャの煮つぶしなど。 少し固まってきたらベビーせんべい、ウエハース、白身魚の煮付け、煮込みうどん、野菜の煮付けなど。 逆に、炭酸飲料、お菓子、肉類などは止めた方がよいかと思います。果物でも、みかんなどの柑橘類は嘔吐や下痢を誘発しやすいとされているので、避けた方がよろしいでしょう。 B:赤ちゃんの場合、お乳やミルクはどうすれば良いのでしょう? T:母乳の場合は短時間で切り上げて、1回量を少なくします。多いと吐いてしまいます。その分、回数を増やしましょう。 ミルクの場合は、半分くらいの濃度に薄めてあげてみましょう。やはり少量ずつ、回数を多くするのが大事です。下痢がよくなってきたら、少しずつミルクの濃度を濃くしましょう。 下痢の治りが悪くて便が酸っぱい匂いになっている時には、ミルクに含まれる乳糖がお腹の中で分解できない状態になっているので、薬局などで売っている下痢治療乳に換えた方が良いでしょう。 B:お風呂は入っても良いのでしょうか? T:嘔吐している時は控えましょう。下痢がある程度マシになれば入浴しても差し支えありません。下痢の為にお尻のかぶれがひどくなるので、お尻ふきはを使うと余計にかぶれがひどくなります。何度もお尻をお湯でよく洗ってあげましょう。 B:病院ではどんなお薬がでるのでしょうか? T:病気自体は事前に治癒するので、症状にたいする治療になります。 嘔吐に関しては、吐き気止めの座薬が処方されることが多いです。 これは量が過ぎると、不随意運動など、神経系の副作用が出やすいので、病院で言われた量と投与間隔を守ってください。 漢方薬にも嘔吐によく聞く場合があり、水に溶かして少しずつ内服したり、溶かした物をお尻から浣腸したりします。 下痢には整腸剤や下痢止めを処方します。嘔吐や下痢が頻回で、脱水がひどい場合は、輸液をするために入院が必要な場合もあります。 B:親としてどんな事に気を付けて観察すればよろしいでしょうか? T:症状がどのように始まって経過していったか、下痢や嘔吐の回数、量。 それから、食事や水分をどのくらい取れているか。尿の回数や量などを見て欲しいです。それから、顔つきの変化がないかどうか、元気があるかどうか、機嫌が良いかどうか、ぼーっとしてないかどうかなども大事です。 B:ところで、これは他の子供にうつるものなんですか? T:兄弟や、両親にもうつりやすいです。時に一家全滅と言うこともあります。 便や吐いた物の始末をしたあとは、しっかり手洗いをしましょう。そしてうがいもしましょう。 B:ありがとうございました。それではまとめをお願いします。 T:はい。 1.嘔吐下痢症は、感染性の胃腸炎であり、その多くはウイルス感染である。 2.秋から冬にかけて流行することが多く、数日から1週間ぐらいで自然に治癒する病気である。 3.吐いた時には、最低1時間ぐらいは物を口に入れないようにして、吐き気が落ち着けばお茶やスポーツドリンクの水から開始、少量、回数を多くして与えましょう。 4.下痢は便の状態に応じて食事の堅さを調節しましょう。 5.下痢が激しい時には、お尻ふきを使わず洗ってあげましょう。 6.うつらないように、手荒い、うがいをしっかりしましょう。 ジャンル別一覧
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